【数学】場合分けの本質
「場合分け」
これを「解法の一種」として解釈している人は少なからずいるだろう。だが、その実態はそんな抽象じみた物ではなく、論証を進めて行く上での本質と言って過言では無いものなのである。
場合分けはなぜするのか。
それは、「そうすることで解けるから。」ではなく、「そうしなければ解けないから。」である。いわば、場合分けというものは必要以上にするものでは無いのだ。場合分けとは本来、複数の解をパターン、フォーマットを統一して算出できない場合に使われるものである。反復試行の計算がその分かりやすい例だろう。
«コイントスでコインの表裏両面が同様に確からしく出されるとする時、5回のコイントスの内ちょうど2回表が出る確率を求めよ。»
解法
(1).何回目に表が出るかの場合分けを行う。
(2).コンビネーションを利用する。
これを解く時に、(1)で解く人は居ないだろう。ほとんどの人がコンビネーションを利用して算出するはずだ。(理解しているかどうかはさておいて。)
なぜコンビネーションを使うのか。
それは、場合分けをせずとも解けるからである。「何回目に表を出すのか。」を考えずとも「5回中2回表を選ぶ。」というルールが成り立っているとを理解できるからである。
また、数学とは与えられた命題を解く学問ではなく、命題の中から数的性質を媒介する法則性を見出す学問なのである。この観点からも場合分けは"必要なときのみ"使うものと言えるだろう。
では本題に移ろう。
この場合分けは適当である。
しかし、ここのリプ欄を覗くと、「a=2のときがない。」、「正しい場合分けとは言えない。」などのリプがあり、疑問を覚えてしまう。
では、なぜこの場合分けが適当であるのかを論証していこう。
となる。
まず、場合分けが必要なのかを考える。
今回の場合、定義域のちょうど中央を境に軸が左右のどちらにあるかで最大値をとるxの値が変化するので必要である。
だから、
・a < 2
・a = 2
・a > 2
の3つに分ける必要がある。
と思ったあなた、上の説明を真面目に読みましたか?
「必要なときのみ」場合分けはするのです。
だから、
・a ≦ 2
・a ≧ 2
の2つでよいのだ。
ではなぜ a = 2 を統一出来るのか。
それは、この問題に於ける不等号の意味に理由がある。
[ a ≦ 2 ]
これが表す意味を考えてみよう。
1番普遍的に言うのであれば、
「aは2以下の値を取る。」
であろう。
しかし、この問題に於いては、
「軸x=aがx=2より左側に存在する。」
という関数的見解ができるのである。
これを図示すると、
こうなる。
よってx=3で最大値をとる。
で解決なのだが、なぜa=2を唱える人がいたのか。推察するに、
「a=2のときはx=1,3の2カ所で最大値をとるから、"≦,≧"で統一してはいけない。」
であろう。
では、a ≦ 2の場合で考えて見よう。
そのためにも、2つ質問を出します。
(1).軸x=aがx=2より左側に存在するとき、x=3で最大値をとるということは普遍的であると言えますか?
(2).軸x=aがx=2より左側に存在するとき、x=1で最大値をとるということは普遍的であると言えますか?
答えは当然、
(1):〇
(2):✕
である。
(2)に関しては、a ≦ 2 のうち a = 2しか満たすときが存在しないので普遍的とは言えない。
では何が言いたいのか。
条件に対して普遍的でない解は除外されるということである。これは機械的に数学をしている人ほど理解できてない本質なのである。
「a ≦ 2のとき、x=1で最大値をとる。」という回答は、何の答えにもなっていないのである。
数学は機械的な処理能力があれば良いという訳ではない。的確な理解ができて、初めて回答が息をするのである。
以上、場合分けについての熱弁でした。
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